むかしむかしあるところに…
そんな決まった言葉で始まる昔話。
どこで習ったという記憶があるわけでもないのに、日本人の多くが語ることの出来る「桃太郎」を代表とした、口承文芸の1つです。
実は私、図書館で勤務するまで、昔話がこんなに面白いとは知りませんでした。
とはいえ、先ほどの桃太郎はもちろん、浦島太郎などはしっかり語れましたし、語れるほどではなくとも、かぐや姫や金太郎など、ストーリー自体はわかっているという程度の知識はありました。きっと多くの方がそうなのではないでしょうか。
しかし、図書館で勤務するようになり、昔話に触れる機会が増えてきたころ、昔話ってこんなに面白いんだ!と実感しました。
しっかりと考えられた構成の見事な起承転結。これを、ほんの数分で語れるお話の中に盛り込んであるのは素晴らしいし、しかも、口承文芸ということは、1人の作家が書いた物語ではなく、様々な語り手によってより面白い物語の形となって伝わってきている物語ですから、面白くないわけがありません。
そんな昔話にも、様々なルールがあります。
代表的なもので言えば、むかしむかしあるところに…といったように、時間も場所も特定しないことや、おじいさんとおばあさん…といったように人物を特定しないことなど、いつどこで誰が聞いても楽しめるよう作られたルールで語られる物語は、何百年も先に暮らす私たちを、今でも楽しませているのですから、すごいとしか言いようがありません。
昔話のように何百年も語り継がれ、日本に暮らす多くの人が語ることの出来る物語が、今後生まれることはおそらくないのだろうなと思います。
…こうして昔話のことを話し出すと、ブログの範囲では収まらなくなりそうなので、ほんの触りのお話だけですが、これから先の子どもたちにも昔話を語り継ぎたいなと思います。