図書館において重要な仕事の1つに“フロアワーク”というものがあります。
フロアワークとはカウンターの外へ出てサービスフロアで行う業務のことで、返却業務、書架整理、レファレンスなど多岐にわたります。
その中でも重要な役割として、利用者さんのちょっとした質問に答えるというものがあります。実際、フロアワークをしていると、たまたま通りがかったスタッフに「この本探してるんだけどどこにある?」と声をかけられることは少なくないはずです。そんなレファレンスに答えるのも重要な仕事ですが、特に児童エリアでのフロアワークは非常に重要で、ここでの会話から読書好きが生まれるかもしれない局面でもあるのです。たとえば、その会話の内容から、こんな本もあるよ!と紹介することが出来、紹介した本が子どもの心に刺されば、読書好きの入り口を開くことが出来るかもしれません。
ただ…この読書好きの扉を開くために注意しなければいけないことがいくつかあります。
・話しかけていいかきちんと空気を読むこと
・こちらの知識は見せないこと
・引き際を間違えないこと
などです。1番最初の「話しかけていいか空気を読む」は、慣れてないうちは子どもの視線が自分に向いたら話しかけてもいい合図だと思うと簡単かもしれません。
そして、意外と重要なのが「こちらの知識を見せないこと」です。多くの子どもたちは、自分が教えてあげるというのが好きなのです。知っていることでも「そうなんだ!」と言って話を聞き、自分がそれ以上の知識を持っていたとしても決して見せないようにします。こちらの知識を見せることで、子どもの知識を否定することにも繋がりかねないからです。ただし、これは子どもたちが自分の知っていることを話してきた時の話です。読書案内など、図書館員としての知識やスキルはきちんと見せて大丈夫だと思います。
そして、重要な「引き際を間違えない」です。困っているように見えて声掛けをしたけど、むしろ話しかけられたことの方が困ってしまう子どももいます。そんなときは、きちんと空気を読み「困ったらまた声かけてね」とあっさり引かなければいけません。逆に永遠と知識を披露してくれる子どももいます。これも引き際が難しいのですが、私は5分程度までは聞き「そうなんだ、私も今度見てみよう、また教えてね!」などと言って切り上げるようにしていました。この時間に関しては、その日の混み具合や、自分の仕事状況などによっても変わってくるので大体5分程度といった感じです。引き際を間違えると、話したい子どもの消化不良になったり、逆に他の利用者さんへの迷惑に繋がることもあるのでとても重要なポイントです。
これらは、図書館の規模や土地柄、スタッフの人数などによっても、出来る出来ないがあるものだとは思います。しかし、フロアワークが0という図書館はありません。フロアに出たときは、意識して利用者さんを見るように心がけてみてください。
行きやすい、利用しやすい雰囲気の図書館は、図書館スタッフと利用者の距離感が抜群にうまい図書館だと思います。
それぞれの図書館に合わせた利用者さんとの距離感で、これからもフロアワークをしていってください。