公共図書館なのにYouTubeって…どんなふうに作っていたのですか?
と質問頂いたので、私が富士吉田市立図書館在籍時に配信したYouTubeのお話を少ししようと思います。
富士吉田市立図書館が公式YouTubeを始めたのは、2020年6月。 世の中がコロナ禍と言われる時期に入った直後。これは、緊急事態宣言などが発令される中、図書館も休館しなければならないといった状況に陥った時に、今だからこそ出来ることはないか?と当時のスタッフで考え、スタートしたものです。2019年頃から力を入れ始めていた図書館におけるイベントを、コロナ禍で開催出来ない、人を集めることが出来ない…というなか、自宅で楽しんでもらうためには…と考えたことがきっかけです。
まず最初にアップしたのが、図書館スタッフ全員出演による図書館のPR動画です。これは、地域でドローンにおける活動をしている方に協力していただき、館内にドローンを飛ばし、配置されたスタッフに案内されるよう書架をぐるりと回り館内やスタッフの雰囲気を伝える動画で、企画は図書館、撮影は外部委託という形で制作しました。
その後、同じドローン等の撮影を行う方に撮影をしていただき、図書館が企画、脚本、監督、出演まで行った「図書館司書殺人事件」を事件編と解決編に分け配信しました。これは、先に事件編を見て、その犯人を推理してもらい、のちに配信される解決編で答え合わせが出来るという仕掛けで、コロナ禍でも自宅で楽しんでもらいたいという思いを込めた作品です。
その後は、開催したイベントを動画化して配信したり、企画、脚本、監督、出演だけでなく撮影編集も図書館スタッフのみで行ったりと、あまり予算をかけずに新しいものを生み出していくようになりました。
制作までの流れですが、まずは企画を立ち上げます。こんなイベントがしたい、このイベントを動画化したいなど企画が決まったら、脚本づくりです。これは文章を書くことや、物語を作ることが好きなスタッフがいたら担当してもらうといいと思います。コツとしては、あまり長くなりすぎないようにすることです。物語で読むとあっという間の短編でも、それを映像化すると背景のシーンやセリフの間など、想定より多くの時間があることを考えながら脚本を書くといいと思います。私は、脚本が出来たら絵コンテも書いていました。カット割りなどを決めておくとかなり撮影がスムーズに進みます。それと同時に、出演スタッフの配役も決めておきます。出演は強制ではなく、出たい人を募るか、やってくれそうなスタッフに聞いてみるという形の方がいいと思います。どんな仕事においてもですが、強制的にやった物より進んで取り組んだものの方が良いものが出来上がります。脚本、出演者が決まったらいよいよ撮影です。撮影自体は、図書館閉館後や月末休館日などに行うことが多かったです。撮影方法としては、スタッフ制作の物はすべてスマートフォンで撮影を行いました。その後の編集も無料動画編集アプリを使い、スマホ上で編集を行うという低コストパフォーマンスで作り上げていました。それでも、「彷徨う~真冬のお化けやしき~(https://youtu.be/rKy4qTcOBcI?si=L7KEnA8-p_w9uD6z)」や「図書館☆ナイトウォーク~オバケつき~(https://youtu.be/6-gPWq1P2Lw?si=X6lKtT0CV9Rpou7l)」といった感じの動画の製作が可能です。
動画撮影や編集が難しければ写真等を使ってPowerpointでアニメーションを作るという手もあります。富士吉田の動画で言えば「ファンキー姉妹が行く!「なりきり展覧会」(https://youtu.be/xCkcLy_Lo_Q?si=ULd_jMa2pCPysLHF)」などがそれです。
このように自分たちの力だけでも行える動画配信型のイベントですが、図書館内で人気が出てくる一方で、市役所本庁内でも話題になり始めました。
次第に、富士吉田市役所の他課から依頼され制作したり、挙句には市長を誘拐するという撮影を現役市長出演で行ったりと活動の幅を広げていきました。
一見、それはもう図書館の仕事ではないのでは?と思いますが「図書館が本庁でも話題になる」というのは、図書館においてとても必要なことです。
これまでのブログでもお話したことがありますが、図書館の予算を決定させるのはその自治体であると思います。本庁内で図書館の活動が話題になれば、予算も比較的通りやすくなると思います。もちろん話題になるだけでなく実績も伴わなくてはなりませんが、いい意味で話題になるというのはすでに実績が伴っているからだと思います。
…とここまで、動画の撮影方法などお話しましたが、そもそも公式YouTubeを立ち上げることが難しいという図書館も多いと思います。
その場合は、撮影した動画を館内にテレビ等を設置し流しておくというのも1つの手です。
実際、富士吉田市立図書館でも館内でしか見れない動画(YouTube未配信)などもありましたが、じっくり見てくれる利用者さんは多かったです。
動画の製作は、館内で開催する1つのイベントより手間暇かかるものだとは思います。しかし、話題性や利用層の広さなど利点も多いのが事実です。
挑戦してみたいけど…なかなか挑戦に踏み切れない図書館の方は、まずは図書館紹介動画を制作してみてはいかがでしょうか?