Library Planner
Sugiyama Sawa

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夏の図書館

暑い夏が始まりました。

涼しい図書館へは、多くの人が来館してくれる季節でもあります。そんな夏の図書館での風物詩といえば「読書感想文」です。

夏休みが始まる少し前から課題図書などに予約が入り始めます。私のいた図書館では、課題図書をそれぞれ5冊ずつ用意し、その中の1冊を館内貸出のみにするという形でご用意していましたが、それでも夏休み中に予約が回りきらないということもありました。

そもそも読書感想文の課題の是非という話もありますが、それはまた別のお話…ということで、読書感想文レファレンスの経験を少しお話したいと思います。

読書感想文には、課題図書と自由図書があります。個人的には、圧倒的に自由図書で感想文がおすすめだと思っています。私自身、以前県が行っている児童に関する講座の課題で、とある本を読みなさいという課題があったのですが、どうしてもその本が私には合わず、読むことが苦行だった経験があります。大人であっても、自分に合わない本を強制されて読むということが辛いのに、本になれていない子どもたちが同じ経験をしたら…本を読むことが嫌いになるだろうな…と思います。ですので、指定されたものではなく、自分が読みたいと思うもの、読めると思うもので読書感想文を書いてほしいのです。

そこでやってくるレファレンスが「読書感想文におすすめの本はありますか?」です。

ここで、自分のおすすめや流行っているから…などの理由で本を勧めたらそれはもう課題図書と一緒ですよね。まずは、その子の好きなもの、興味があることを聞き出します。

バレーやってる!お菓子作りが好き!犬を飼ってる!など、キーワードが聞けたらこっちの物!その事柄に関連した本を一緒に探してみればいいのです。また課題図書には、重い内容の物も多いのですが、私はあまりお勧めしないようにしています。今日初めて会った子がどんな考え方で、どんな環境で暮らしているのか知らないからです。人の生死にかかわることや戦争のことなど、もちろん子どもたちに伝えていかなければならないと思っています。しかし、ただの図書館員である私には、重い内容の本を読んだ後のその子の心のフォローまでは出来ないのです。特に、何を読んだらいいのかわからないという読書初心者が初めて読んだ本が、家族の死や戦争についてだったら…本を好きになるでしょうか?本って面白い!となるでしょうか?

読書は子どもたちに本来ならば経験してほしくない事柄を「疑似体験」させてくれる役割があると思っています。ただ、それはこちらが強制して読ませるものではないとも思っています。なので、読書初心者による課題図書のレファレンスでは私は重い内容の物はお勧めしません。その子の興味があるものに寄り添い、それに関する小説や歴史、伝記なども提案していきます。

その他に予備でもう1冊、教科書で学んだ文豪の別作品を勧めておきます。新見南吉や宮沢賢治など教科書で習ったからほかの作品も読んでみたくなった…というキッカケ導入で感想文が書けるのでとても書きやすいのです。また教科書でその文豪や作品のことを深く読み解いているので、他の作品も読みやすくなっていると思いますし、何より、先生ウケが良いのです!

といった感じで、私が乗り越えてきた読書感想文レファレンスは「その子の興味に関する本」1冊、「教科書で学んだ作者の本」1冊という形でした。

この夏も、多くの子どもたちが選書に悩み図書館に助けを求めに来ると思います。

読書好きを作る入口だと思って、全国の図書館員の皆さんの活躍を応援しています。

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