Library Planner
Sugiyama Sawa

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コンセプトのある図書館

あなたの暮らす街の図書館にはコンセプトがありますか?

図書館と言えば…「静か」「暗い」「真面目」そんなイメージが付きまとうものです。しかしここ10年くらいで、様々な図書館が増えてきました。何か1つの分野に特化した図書館、とにかくおしゃれな図書館など…そのコンセプトは様々です。

その地域には、どんな利用層がいて、どんな人を図書館に呼び込みたいか…でコンセプトは変わってくると思います。

皆さんのよく知るところで言えば、東京子ども図書館(東京都中野区江原町1-19-10)もそうです。東京子ども図書館は、子どもと本の幸せな出会いを願って活動する私立の図書館で、子どもへのサービスのほか、“子どもと本の世界で働くおとな”のために、出版、人材育成等を行っている図書館です。子どもの本とそれを繋ぐ人の人材育成に特化するというコンセプトのもと経営されています。ここは私立図書館なので公共図書館とは運営も考え方も違うとは思いますが、1955年に家庭文庫から始まり、1974年に“東京子ども図書館”として財団法人の認可をうけ50年。変わらず「子どもの本」をコンセプトに活動し続けているのは、強い意思と努力を感じます。

では公共図書館ではどうでしょう。たとえば、静岡県にある静岡市立御幸町図書館(静岡市葵区御幸町3番地の21)で2004年の開館当初から行っているのが「ビジネス支援サービス」というものがあります。これは公共図書館としての通常の役割のほかに、この図書館のコンセプトや特色として行っているもので、単にビジネス関連図書を特集して展示する…というのではなく、他機関とも協力し経営の専門家である中小企業診断士による、ビジネスに特化した無料相談やビジネス支援に役立つ情報を紹介した『マーケティング情報源ガイド』なども発行しており、経営者やこれから起業したい人などが、ビジネスに関する情報が集められる図書館になっています。土地柄や利用層などに合ったもの、求められるものを形にした例だと思います。

建物全体でコンセプトを打ち出している図書館としては、群馬県にある太田市美術館・図書館(群馬県太田市東本町16−30)があります。ここは“まちに創造性をもたらす、知と感性のプラットフォーム”というコンセプトを持ち、美術に特化した図書館で、常に同施設内で展覧会などが開催されています。所蔵本に関しても、美術やものづくりに関する本で占められています。建物自体も非常に面白い作りになっており、1階に併設されたカフェには常に人がにぎわっています。駅前という立地を生かし、若者が多く利用しているところも見受けられました。

今回紹介した図書館では、そのコンセプトのもと作られた…というところですが、今ある図書館を建て変えずともコンセプトは作れると思います。

まずは、その図書館にはどんな利用層がいるのか、どんな人に来てほしいのかそれを見極めることが大切です。その図書館の母体である、自治体(役所)と話してみるのも良いと思います。

「地域住民のコミュニティの場としての図書館」や「地域の歴史や文化に特化した図書館」「若者の居場所となる図書館」など、その地域によって求められることは違うと思います。

図書館にどんな役割を求めるか。

それが決まったら、その役割のためにどんなコンセプトで、そんな取り組みをすればいいのか…1歩踏み出してみるのはいかがでしょうか?

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